【目でものが見える仕組み】
物を見る、という当たり前の行為。「どのようにして物が見えるんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
人の目は、実は非常に複雑で繊細な構造になっております。ここでは、その目の構造や仕組みを分かりやすくまとめて見ました。
目は、大人では直径24mmほど、重さが約7g(五百円玉ぐらい)ほどの球体です。光や色を取り入れ、その刺激を電気信号に変換して、神経を通じて脳へと伝えます。そして伝えられた刺激を脳が映像として認識することで「物が見える」ことになるのです。さまざまな器官から成り立っており、ここでは主だったものを紹介致します。
【角膜】
角膜とは、黒目部分で目の一番外側にある透明なドーム状の組織であり神経がたくさんありとても敏感です。表面は常に涙液で覆われており、血管のない透明な膜で涙液から栄養などの補給を受けています。大きさは縦約10mm、横約11mm、厚みは約0.5mm。
【結膜】
結膜とは、角膜周囲の白目部分と瞼の内側を覆う薄い膜です。この部分に炎症が起きるのが結膜炎です。
【水晶体】
水晶体とは、目の中で角膜のすぐ後ろに位置して、透明で弾力のあるレンズの役割を担う組織であり、このレンズの厚みを変えることで光の屈折を調節し、網膜上に焦点を合わせる働きをします。遠くを見るときには水晶体が薄くなり、屈折率を小さくする一方で、近くを見るときには水晶体が厚く、屈折率を大きくしてピントを合わせます。大きさは直径9mm、厚さは4mmほどになります。この部分が濁ってしまうのが白内障です。
【硝子体】
眼球内部の大部分を満たしている無色透明のゼリー状の組織です。成分の99%が水で、硝子体は水晶体の後ろに接しています。眼球の奥では一部が網膜と接着していますが、ほとんどは網膜と軽く接しているだけです。眼球の形を保つと同時に、入ってくる光を屈折させる役割もあります。
【虹彩】
虹彩とは、毛様体の手前にあり目の瞳(瞳孔)の周りにあるドーナツの輪の形をした茶褐色の膜で、カメラの絞りのように目に入る光の量を調節する重要な働きを担っています。
【瞳孔(瞳)】
瞳孔とは、眼の中心の「黒目」と呼ばれる部分です。暗い所では大きく開き、明るい所では小さくなります。大きさを変えることによって目に入る光の量を調節します。
【強膜】
強膜とは、眼球の構造を支える一番外側の白くて丈夫な膜で、一般的に「白目」と呼ばれる部分です。厚さは0.3mm〜1.0mmほどで眼球後部(視神経が眼球を貫通する部分)が最も厚く、前方に向かうほど薄くなります。目を保護する役割や角膜以外から眼球内に光が入らないようにします。
【網膜】
網膜とは、眼球の最も内側にある薄い膜状の組織で、カメラに例えるとフィルムの役割を果たします。外から入った光を感知し、視神経を通して脳に情報を伝える役割を担っています。色を感じる細胞や明るさを感じる細胞などがあります。
【視神経】
視神経とは、網膜に取り入れられた視覚情報を脳に伝える神経です。電気信号を送る電気コードのような働きをします。
【中心窩】
中心窩とは、網膜の後方中心部にある黄斑(おうはん)の、そのまた中心部にあるやや窪んだ箇所を指します。解像度が一番優れています。形や色を見分ける錐体細胞(視細胞の一種)が特に密集しており、良い視力を出すための重要な部分です。
【視神経乳頭】
視神経乳頭とは、視神経が眼球から外へ出る部分です。たくさんの神経繊維が束になっている、とても大切な部分です。しかし、視神経乳頭は光を感じることができず「盲点」と呼ばれています。
【毛様体】
毛様体とは、眼球内を満たす房水を作り出したり、伸び縮みすることで水晶体の厚みを調整します。。虹彩のすぐ後ろに位置していて、水晶体の周りを囲むようにあります。
【涙】
涙は「油層」「水層」「ムチン層」の3層からなっており「涙液層」と呼ばれています。そのうち95%は水層で、上瞼の裏側にある涙腺から分泌され、目を潤すだけでなく目に酸素や栄養を運びます。
最も外側にある油層は、瞼の上下に数十個ずつ並んでいるマイボーム線という器官から分泌され涙の蒸発を防いだり目の表面に涙が広がるのを助けます。ドライアイの86%はこの油層不足が原因と言われています。
ムチン層は涙の最も内側にあり、結膜のゴブレット細胞から分泌される粘液製の分泌物で、角膜と涙を接着して安定性を保つ役割と、涙を目の表面に均一に行き渡らせる手助けをしています。
【視力の種類】
見え方で正視、近視、遠視、乱視、老眼などがあります。
⚫️正視
正視とは、目の屈折異常がない状態です。メガネ・コンタクトレンズを使わなくても1.0以上の視力があり、目の中の筋肉がリラックスしている状態です。正視の目は、調節力を使わずに遠方の光が網膜に焦点を結び、近くのものは調節力を使ってピントを合わせることができます。
⚫️近視
近視の場合近くは比較的よく見えますが、遠くがぼやけて見えます。看板や黒板・標識などがにじんで見えたり人の顔が離れた所では判別が難しくなります。目に入る光が網膜より手前で焦点を結んでしまいます。原因としては遺伝、環境の2つが挙げられます。ただ遺伝によって近視になる数自体はそれほど多くないと考えられていますが、両親が近視の場合、そこから生まれてくるお子様の近視になる確率は5倍ぐらい高い、というデータもあります。メカニズムとしては眼軸(眼球の奥行き)が長い、屈折力が強い(角膜のカーブが強い)などが挙げられます。
⚫️遠視
遠視の場合は遠くも近くもピントが合いにくく、特に近くは疲れやすくなります。頭痛や肩こりが出やすくなります。目に入る光が網膜より後ろで焦点を結んでしまいます。原因としては眼軸(眼球の奥行き)が短い、屈折力が弱い(角膜のカーブが弱い)などが挙げられます。
⚫️乱視
縦や横、斜め方向でピントがずれていて全体的にぼやけて見えます。角膜または水晶体が歪んでいて方向によって焦点の位置が違うので光が一点に結ばなくて物がにじんて見えたり二重に見えたりします。文字がぶれたり光が広がったり夜の信号などはにじんで見えます。
⚫️老眼
加齢によって近くが見えにくくなります。水晶体が固くなって調節力が弱くなり近くが見えにくくなります。40歳前後から始まります。新聞やスマホなどは話さないと読めなくなり夕方などは見えにくくなります。端的に言うとピント調節力の老化となります。
⚫️弱視
弱視とは眼球自体には明らかな異常が見られないにも関わらず視力の発達が障害されて起きた低視力のことです。メガネやコンタクトレンズを装用しても矯正視力が1.0未満にしかならず視力が十分にならない状態を指します。
【視力矯正】
近視や遠視、乱視などの屈折異常できちんと見えない方が日常生活が不便なく行えるように導く手段が視力矯正になります(根本原因は治せませんが・・・)
代表的なものはメガネ、コンタクトレンズ、レーシック、ICL、オルソケラトロジーです。それぞれ向き不向き、メリット・デメリットがありますので十分に検討した上で決断する必要があります。
⚫️メガネ
日本では約6000万人がメガネを使用していると言われています。世界中でも屈指のメガネ大国です。メガネの利点は眼球に直接触れることはないので目の状態に関係なくいつでもつけることができる点です。目を痛めたり目の病気になったりしても基本的には症状を悪化させることなく着用できます。
また、長時間着用することも特に問題なくできます。 手入れもレンズが汚れた時に拭くことを除けば特にこれといった手入れるすることなく小さなお子様でも使用できます。
しかし、メガネにもデメリットがあります。レンズがすぐ曇ってしまうので風呂場や熱気の高い場所では不便です。また、炎天下では汗でフレームがずれてしまったり、雨では濡れてしまって視界が悪くなったりと特に運動中は不便です。視野も限定されてしまいます。レンズの中心近くではピントがあいますが端の部分では形が歪んで見えて視野の狭さに違和感を感じる方もいます。
そのほか、顔の印象を決定づけるアイテムにもなり得ますのでビジュアル的に似合わないため嫌う人もいて、多少目が悪くてもメガネはかけたくないと考える人が多くいます。
⚫️コンタクトレンズ
コンタクトレンズの装用人口は1500万人から1800万人と言われています。
コンタクトレンズのメリットはフレームやレンズから解放されることです。メガネはフレームが皮膚に食い込んだりして跡ができるたり痛みが出たり、ひどい場合には頭痛の原因にもなりますが、コンタクトはビジュアル的にも裸眼と変わらず使用でき、視野の影響や歪みもないのでメガネのように生活上不便さを感じることもありません。
しかし、コンタクトレンズにもデメリットがあります。目に直接入れることになるので脱着には慣れが必要ですし、いつまで経っても異物感が抜けない方もいます。また、毎日の手入れが面倒です。清潔に保っていないと感染症にかかる可能性もあるので外した後のケアが重要になります。疲れた時、眠い時、忙しい時には面倒になります。
目への負担はありますので一日8時間以上の使用はお勧めしない眼科医が多いです。
⚫️レーシック
レーシックとは、角膜にレーザーを当てて角膜のカーブを変えて角膜の屈折力を調整することにより、近視や遠視・乱視を矯正する方法です。手術にかかる時間は両方の目で10分程度で、手術時の痛みも少なく翌日には98%以上の人が1.0以上の視力に回復すると言われています(新宿近視クリニックより抜粋)。視力が不安定な18歳未満の方は受けることはできません。
https://www.sbc-lasik.jp/care/lasik/about/
デメリットは状態によっては受けられない場合がある、角膜を直接削るので見え方に違和感を覚えたり思わしくない症状がでてきた場合、復元出来ない可能性がある点。一度削ってしまった角膜は厚くすることはできないので、2回目の矯正で適応できる程度にも限界があります。
また、近視の逆戻りが発生することがある点、夜間を中心に光が見えにくくなるハロー・グレアという現象が起きる可能性、ドライアイになる可能性などが主なデメリットです。そのようなリスクを伴いますので眼科医としっかりと相談をして状態を見て検討する必要があります。
メリットはメガネやコンタクトから解放される、手術時間が短く早ければ手術当日から視力が上がる、ICLと比較するとリーズナブル(両眼で20万〜40万)で安全性が高い、などがあります。
⚫️ICL(眼内コンタクトレンズ)
ICLとは、目の中に小さなレンズを移植して近視、遠視、乱視を矯正する視力矯正手術のことです。
デメリットは両眼で40万〜80万とレーシックに比べると高めであり、眼内炎などの合併症のリスクはあります。また、18歳以上(一般には21歳から45歳が推奨)、妊娠中、授乳中の方は受けられない、などがあります。
メリットは、レーシックと異なり角膜を削らずにレンズを挿入するだけで万が一見え方に不具合があってもレンズを取り外せる、対応範囲が広い、ドライアイにリスクは低い、メンテナンスが不要である、などがあります。
⚫️オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、近視矯正治療の1つで、特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝中に毎日装着することで角膜の形を正常に整えます。
日本では2009年に厚生労働省の認可が降りました。
オルソケラトロジーレンズ(高酸素透過性コンタクトレンズ)を装用する治療法で、一般のコンタクトと違って、寝ている間だけ付けるタイプのもので、睡眠中に角膜の形状を正しく矯正することで、日中は裸眼で過ごせるのが大きな特徴です。
付け方や取り扱いは従来のコンタクトとほぼ同じです。
メリットは就寝時に専用のコンタクトレンズを装用するのみで、ICLやレーシックのように手術は不要です。そして日中は裸眼で快適に過ごすことができます。
適応年齢は6歳以上で子供の近視進行抑制効果のある治療です。
デメリットは効果が出るまで1〜2週間ほどかかること、レンズを清潔に保つ必要があること、装用をやめれば効果はなくなること、近視進行抑制効果は18歳ぐらいまでで成人の方には効果は期待できないことが挙げられます。
視力矯正法と費用比較
【目の病気などについて】
ここでは目のトラブル、病気について解説致します。
⚫️充血
充血は結膜(白目)の血管が拡張している状態で、拡張する血管の場所によって、結膜充血と毛様充血があります。
結膜充血・・・結膜炎によって起こり、白目の周辺部分や瞼の裏が赤くなります。その原因によりアレルギー性結膜炎(花粉症など)や感染性結膜炎(細菌性、ウィルス性)などがあり、目やにや痒み、涙目などの自覚症状を伴います。ドライアイや目の疲れ(眼精疲労)によっても生じることがあります。
毛様充血・・・黒目(角膜)の周りが充血し、ぶどう膜炎や緑内障発作など目の炎症によって起こり、目の痛みを伴うことがあります。結膜充血との違いは、瞼の裏まで充血しない、黒目の周りが充血すること、色が青紫色であることが挙げられます。
⚫️眼精疲労
眼精疲労とは、目を使う作業を続けることで、目がかすむ、目が重い、充血する、目の奥が痛む、ドライアイ、瞼が開きにくいなどの症状の他に、肩こりや頭痛、吐き気、不眠、食欲や集中力の低下、全身の倦怠感や軽い鬱状態など全身症状も伴うこともあります。これらの目や全身の症状は休んだり睡眠を取っても回復しない状態となります。
その原因は毛様体筋の緊張にあります。目には自動的にピントを調節するオートフォーカス機能が備わっています。目の中にある「毛様体筋」が縮んだり緩んだりして水晶体の厚さを変えてピントを調節するのですが、スマホやパソコンなどで近くの物を見続けると眼球が固定されて毛様体筋は緊張状態が強いられます。この状態が続くことによって眼精疲労となり様々な症状が全身に現れるようになります。
⚫️ドライアイ
ドライアイとは、涙液層が不安定になり目や視力に異常をきたすことです。目の表面は涙でうるおされていますが、この涙は3つの層からなっております。外側から順に油層・涙液層・ムチン層です。これらがバランスよく機能していれば問題はないのですが、どれか1つでも不足するとバランスが崩れて目の表面に定着しなくなります。この結果として目が乾いたり疲れやすくなったり視界がぼやける・ものが見えにくくなる・視力が落ちるといった症状が見られるようになります。
主な原因は、加齢と環境の2つであると考えられております。現代社会ではパソコンやタブレット、スマホなどの使用により目を酷使することが多くなり、またエアコン、コンタクトレンズの長時間使用などの生活スタイルもドライアイの原因となります。日本では2200万人もの人がドライアイであると言われています。
⚫️白内障
白内障とは、カメラで言うところのレンズの働きをしている水晶体という器官が濁ってしまいし機能の障害をきたす病気です。それによってかすんだり、ぼやけたり物が二重に見える、眩しさを感じるなどの症状が起こります。視力にも影響を及ぼし徐々に低下していきます。
⚫️緑内障
緑内障とは、目の奥にある視神経という部分に異常が起こり、視野(見える範囲)が狭くなったり部分的に見えなくなったりする病気です。障害を受けた視神経は再生することはないので、失われた視野や視力も元には戻りません。通常はゆっくりと進行していきますので、病気に気づかないことが多い病気で、日本においては失明原因第一位の病気です。
緑内障の原因は、眼圧の上昇や加齢、血流、近視、遺伝など様々な要素が挙げられます。
⚫️網膜剥離
網膜はカメラでいうところのフィルムの当たるところです。その網膜が眼球の内側に向かって剥がれてしまう病気です。
網膜の前にはゼリー状の組織である硝子体があります。強度近視の方や中高齢者ではその硝子体が一部溶けて水のような所ができることがあります。そのうち、ゼリー状の部分が収縮すると後部硝子体剥離になり、目の前に糸屑のような物が見える飛蚊症や周りに灯りのない暗い所で目を急に動かすと視野が光って見える光視症の原因になります。この時に網膜と硝子体の接着している部分が引っ張られてしまうと裂け目ができて網膜裂孔となります。
この裂け目から水状となった硝子体が網膜の下に入り込んで網膜が剥離した状態が網膜剥離です。その状態が続いてしまうとついには網膜の細胞は死んでしまい光を感じることができなくなってしまいます。
⚫️老眼
老眼とは、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを変える力が衰えることによって起こるもので、近くのものを見る際に、例えば本や新聞を読むなどの日常動作に支障を感じるようになります。眼はレンズの役割をしている水晶体を薄くしたり厚くしたりしてピントを合わせます。その水晶体の厚みを調節しているのが、水晶体の周りを支える毛様体筋です。水晶体は加齢とともに硬くなり、毛様体筋も疲弊していきます。そして水晶体の厚みが変わりにくくなることで目のピント調節機能が衰え老眼となります。通常は40歳ごろから症状が出始めますが、最近ではスマホを長時間することで近い距離が見えづらくなく「スマホ老眼」と呼ばれる現代病も耳にします。
⚫️近視と眼病
近視が進行するとさまざまな病気を発症するリスクが高まります。
以下に主だったものを挙げます。
近視の程度 軽度 中度 強度
白内障 1.56倍 2.55倍 4.55倍
緑内障 1.59倍 2.92倍. 2.92倍
網膜剥離 3,15倍. 8.74倍. 12.62倍
近視性黄斑症 13.75倍 72.74倍 845.08倍
どの病気も近視の程度が上がるにつれてリスクは高まりますので、近視が進行するのを少しでも抑制することがとても重要になります。